2010年11月25日木曜日

2010年11月号



  



          「錦秋」


          関照るや紅葉にかこむ箱根山  来山
          かざす手のうら透き通るもみじかな  大江丸





児島善三郎 20号 1960年  「箱根の秋(宮ノ下より強羅を望む)」





                 紅型 紅葉紋残欠部分




紅葉は古来まことに絵になりにくい主題です。誰でも理屈抜きに
知っている美しさですし、描こうとすると赤と黄色はどちら
も前面へ飛び出してくる色で、多用すると画面から遠近感や量
感、ムーブマンを見事に奪い去り、まさしく一枚の錦のように
平面化されてしまいます。先人はさすがお見通しで、光琳は団
扇絵ですが、山と川を大きくとらえ、紅葉の葉は周辺に数枚そ
れも半欠け状態に顔を覗かせる程度にあしらっていますし、北
斎はパトロンの家で竜田川の図を所望されると、画仙紙に曲水
を垂らし込みで描き、その上を足に赤い絵の具を塗った鶏を歩
かせ、「竜田川にございます。」と即興に逃げています。もちろん、
大まじめに屏風や襖絵の大画面いっぱいに挑んだ大画家たちも
いますが、おおむね豪華な感じだけで駄作に終わっているよう
に思えます。その良い例が横山大観の「紅葉図屏風」です。
果たして掲載の善三郎の秋景はどちらでしょう。
手元にある紅型の裂帳の中の1枚です。沖縄に紅葉があるのか
私にはさだかではありませんが、今回は色に押され何かカボチ
ャのポタージュのように「のっぺり」と失礼致します




市場から

G20がソウルで、APECが横浜でと世界の動きも新興国を巻き込
みながら、いよいよアジア、中国を中心とした時代になってきたよ
うです。アメリカ、EUもなんとか踏ん張りながら三極体制を維持し
ようと必死です。通貨戦争といわれるように自国の輸出増強と産
業保護のために、なりふりかまわず為替の誘導を仕掛けてきます。
その為ドルやユーロなどの通貨の価値は下落し、ご存知のように
金の価格が暴騰しています。その他、鉄鉱石、レアメタル、肥料、
などなど商品が軒並み高騰してきています。絵画もピカソの作品
がつい最近100億円で落札されています。以前から何度もこの欄
に書いていますように、スーパーインフレが竜巻を伴った巨大な

積乱雲のようにすぐ傍まで迫ってきているような気がします。
一方、国内でも沸き立っていた中国美術品の爆発的高騰には僅

かながら変化がでてきたようです。中国当局が土地価格の高騰を
抑える為、市中銀行の預金準備率を上げて貸し出しを抑制してい

ることもありますし、レアメタルの問題でもでてきたように輸出入や
送金の事務手続きを遅延させたり、厳格化したりで意図的に取引
を沈静化させようとしているらしいとのことです。美術品投機が賄賂
や汚職で得たブラックマネーの行く先になっているとの懸念も有るか
らでしょう。一時的な調整に向かうのか、バブル崩壊へとなだれ行く
のか、それこそ神のみぞ知るところです。いずれにしろ、わが国は
どうなるのか、私たちはどうすればよいのか頭が痛いですね。


今月の新着



児島善三郎「薔薇10F 1941年頃



                                                             
                                            Morandi FIORI1943



   国分寺時代代表的スタイルの薔薇、李朝の梅瓶は鳳凰
  が尻尾を向け後ろ向きにおかれています。以前から気にな

  っていた事がイタリアの作家モランディ(卓上の瓶の静物
  画で有名)が描いている薔薇とよく似ている事です。時代
  も殆んど同じです。恐らく、同時発生したもので、お互
  いの影響はあまり考えられません。善三郎が晩年の薔薇
  の様式にいたるのはこの作から約10年後になります。








                   越後上布亀甲絣

 
  一度は手に入れたかった越後上布です。だいぶ前の時代の
  反物だから私でも手が出せました。今はもうない銀座の老
  舗「紬屋吉平」のものです。素敵な女主人浦沢月子さんは
  和装界では憧れの的だったようです。一尺二寸の生地巾に
  118の亀甲が織り込まれています。どなたもお求めにな
  らないなら、来夏、仕立てて自分で着ちゃおうかなんて贅
  沢な事を夢みております。



画集編集室便り

 画集の体裁もどうにか見えてきました。観賞用とレゾネと
 二冊分冊する事になります。見やすく、買いやすく、カッコ
 イイ本にしようと思っています。ところで編集の藤元女史
 が上海ビエンナーレにお仕事で出掛けられた折に、
 善三郎の資料を持っていって当地の美術界の実力者に
 ご覧に入れたところ、大変気に入られたようで上海で展覧
 会を開いたらどうかとまで勧められたとのことでした。社交
 辞令もあるでしょうが、嬉しい話です。万博も終わったこと
 ですし、小生も一度上海に遊びに行って見たくなりました。
 プライベート美術館や画廊がどんどん出来ているそうです。


株式会社 兒嶋画廊



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