「なんの湯か 沸かして忘れ 初嵐」 石川桂郎
児島善三郎「松」 1983年頃 115.5x80.7cm
ブラハ 絹経絣 ウズベキスタン h240cm
野分け前・・
一ヶ月お休みを頂いた上のこの暑さ、集中力など微塵も無くたってお許しを頂けるんじゃないかと勝手読み。絵も句も季
語もばらばらです。我慢大会じゃないですが、43℃の風呂の
中で鍋焼きうどんか、寄せなべを頂いている感じが出ればと
ひと工夫。掲載の「松図」は実は50号の大作です。似たよう
な構図で12号の「松籟」があります。こちらの絵のほうがカ
ンカン照りの夕方、にわかに駆け曇り大粒の雨が地を叩 かん
ばかりに落ちてきそうな感じが良く出ているのですが、今年
の夏の終わりはまったく違いますから、敢えてこっちの猛暑
のゼリー寄せのような作品を選びました。なるほど、そう思
ってこの絵を見ると松の葉や枝のマッスが金太郎飴やゼリー
寄せの切断面を見ているようにも見えてくるから不思議です。
先週、福岡で久々に食べたクジラの百尋(ひゃくひろ、クジラ
の腸)にもそっくりに見えてきます。この絵を描いた一 寸前に、
善三郎は「代々木の庭」で繰り返し実験してきた箱庭的とい
うか折詰的とも言える徹底的にズームアップし、遠近法を極
端なまでに圧縮した風景画を終了し、新たな画題を求め起伏
やV字谷のある武蔵野の国分寺にアトリエを移しました。
留学前から考えていた準備は整った、誰の目も憚らずに、思
い切った日本的表現を自己の絵画の中で実践するぞというマ
ニフェストが聞こえてくるようです。左上の冷気急降下のよ
うな表現が私にはよくわからなかったのですが、野分け前と
思えば納得できるような気がします。冒頭のとぼけた句を詠
んだ石川桂郎は、1909年東京生まれ、戦前は波郷の門人から、
戦後は秋桜子の「馬酔木」に参加。酒食と放言を好み、風狂の
人とあります。まさに、熱中症好み。
市場から
この稿がお手元に届く頃にはつぎの総理大臣が決まっている事
でしょうが、市場の反応は冷静なものになるでしょう。何も変わら
ない、何も変えられない恐ろしさ。アメリカを始め世界が出口戦略
を中止し、再び緊急経済対策として公共事業や減税に走り出しま
した。二番底への落下を止めようと躍起です。保護主義も顔を出
してくるでしょう。日本の二の舞になってはならない、我々は違うと
いっています。さて、これから美術品の世界はどう動いて行くので
しょう。7月のシンワオークションは全体で6億円の下値合計が約
10億円で落札され久々の快挙だったようです。その後、手元に届
いたサザビーズジャパン社の小冊子「WHITE GLOVE」8月号の
報告はなかなか興味深く、一面の石坂社長のロンドンからのレポ
ートには「Masterpiece 2010 London」というアートフェアが紹介
されています。そこでは、成熟してゆくアートマーケットやアート
フェアの姿を伝えています。ブガッティーの名車もあれば19世紀
の絵画、ピンクダイヤモンド、様々な骨董品、美術品など親しみ
やすい品々が展示され、洒落たバーコーナーなど大人がそれぞ
れ興味を持てるものを楽しみながら買い物が出来るという、忘れ
ていた本来のフェアの顔を取り戻していたとのことです。「これが
アート」、「これでもアート」というお仕着せから「ご自分のお好み
で」というプリンシプルに戻ってきたとのレポートでした。そのほか
6月のロンドンでマネの自画像が約30億円、5月のニューヨークで
マティスの静物画が約27億円、ウォーホールの自画像が約30億
円などなど、また中国美術も相変わらず沸き立っているようです。
何で我国だけがいつまでも大底の番人をしてなきゃいけないの
でしょうか。まるで地獄の「牛頭(ごず)馬頭(めず)」のように。
今月の新着

脇田 和「鳥と顔」1950年代 10号F キャンバスに油彩

児島善三郎 「バラ」 12.5x15.7cm ボードに油彩
株式会社 兒嶋画廊
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