2011年4月19日火曜日

2012年2月号




児島善三郎 「早春(梅)」 10F 個人蔵




                     仙崖 「天神図」

            


                                              梅一輪 一輪ほどの 暖かさ   嵐雪

                                       東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 
                主なしとて 春を忘るな     菅原道真





毎朝犬と散歩の近所の公園もだいぶ前に紅梅が咲き始め、追い
かけるように今、白梅が盛りを迎えています。
以前の家の庭には屋根の高さほどもあった盆形のしだれ白梅が
ありました。ガクが紅いので、満開になるとピンクに染まった
ようにも見えました。大きな庭石をはさんで右手には臥龍形の
紅梅が植わっていました。ここでも紅梅が早く、白梅は特に遅
咲きでしたので前田青邨の紅白梅図のように並んで咲き誇るよ
うなことはありませんでした。自然の松林の中に竹林を作り、
内庭には梅の木ですから、この庭を作った善三郎はめでたさを
愛したのでしょう。又、郷里が福岡ですから、飛び梅で有名な
大宰府天満宮も大好きだったようで、水墨画や油彩で何点も大
楠や赤い太鼓橋が池に写る姿を描いています。掲出の仙厓和尚
の天神図も遺品の一つです。この天神様のスタイルは渡唐天神
といって中国風の服を着て梅の枝を持ち微笑んでいるのが特徴
です。受験のお子様やお孫さんがいる方は間に合えば切り抜い
て持たせてあげてください。油絵のほうは杉並のアトリエのす
ぐ近く、畠の畦に可憐に咲く白梅を描いています。周りの麦畑
に比べ梅の木の右側は一段急に下がっています。田起した土の
色、梅花の白、遠くの空のうす小豆色、それに麦畑の緑のスト
ライプ。早春の主役たちが森の前で踊りだそうとしているよう
です。



市場から

「風が吹けば桶屋が・・・」みたいに、

アメリカや先進国の超金融緩和の影響で途上国はインフレになり、
そこの庶民は生活苦に怒り、独裁者はデモ隊に追われ、イスラエ
ルもビビリだし。中東の原油が上がるんじゃないかと投機家は虎
視眈々。そんな中、わが国の銀行も大企業も好決算続々だ。
株も高い、長期金利も上がりだしたけど、国債の格付けは下がり、
若者の就職難はなくならない。国会は何も決められないし、小沢は
辞めない。雪も火山灰もドンドン積もる。俺にも誰かランドセルを只
でくれないかい!!♪♪♪どなたかこのラップに曲を付けていただけな
いでしょうか。牧伸二はラップの元祖ですね、「アーアーアーアー、
やんなっちゃった!!あーあーあーあー驚いた!!」懐かしくないで
すか。嘆くやつもいなけりゃ、デモるやつもいない、こんなインポテン
ツな日本にいつからなっちゃったのでしょう。3Dテレビになれば手
を突っ込んでコメンテーターなんていってる奴等を引きずり出してき
て「イイカゲンニシロ!!」と怒鳴りつけることが出来るのでしょうか。
それに付けても「絵が安い」「デフレが憎い」なんて言ってますが、
私たち団塊の世代は3回もバブルがあって、一番いい思いをしてき
たし、これからはみんなで年寄りになって若い世代を苦しめるんだ
そうで、「どうも、すみません!!」冗談はこれくらいにして、市場は
下げ止まりしそうな予感がします。欧米やアジアの市場でも物不足
には代わりがありません。さまざまなコモディティに買いが入ってい
ます。美術品に来ないわけがありません。「柳緑花紅」柳の芽が膨
らみ、花々が咲き乱れる、春の相場はこうあってほしいものです。


画集編集室便り

当初の予定と異なり、編集主宰を私がつとめることになりました。
なるべく第三者の目で善三郎像を炙りだしていただこうと考えて
居りましたが、これも成り行きでしょう。数学者 岡潔さんは著書
の中で「人は情緒を形にあらわして生きている。その情緒が形に
現れるとき、喜びがある、それが生きがい、真善美です。」と書い
ています。大きく励まされる言葉です。又、「その人の過去全部、
過去のエキスが情緒であると思います。」とも書いています。
作品集、レゾネの意味に「すーっと」爽やかな風が吹き込んで来
る思いがいたします。 





2011年1月18日火曜日

2011年1月号




児島善三郎 着色水墨 「橋」




                         
                 波兎夜着 筒描





     めでたさや 雲井に浮かぶ 峯仰ぎ   丸子(がんす)




正月八日に、一人で茅野の手前にある富士見パノラマスキー場
へスノーボードをしにいってきました。転んでばかりで散々でした
が、真正面に広がる八ヶ岳の雪を頂いた山塊や山頂付近から眺
めた富士山の姿は誠に心洗われる感動的眺めでした。
「良くぞ日本男児に生まれけり」といったところです。
ところで、最近、新聞などでよく目にするのに、「ジャパン・スマー
ト」とか「日本人の本来の特性を活かせ」とか、しぼみ加減の日
本人の魂を奮い立たせる記事や特集が目に付きます。日本の
風土の素晴らしさや民族の情緒の卓越性を自ら再認識しなけれ
ば、グローバル社会で生き残れないという論評が出始めてきて
います。以前は「経済は一流、政治は三流」などと言われて、い
い気に成っていましたが、いまや、経済も中国や途上国に押され、
政治家の発言などは、どこの国もまともに聞いてくれなくなってし
まいました。急速な少子高齢化と財政赤字の急増、それにも増し
て国民に根深く浸透した「他力本願の意識」によって日本沈没は
避けられないのでしょうか。そんな不安を吹き飛ばし日本再生を
期する動きが国民自体から出てきたのでしょう。政治家に任せて
はおけない。自らが変わらなくてはいけない。それによって周辺の
見方が変わってくるからです。本年が日本人の魂と誇りを取り戻
す最後のチャンスと覚悟するくらいでなくちゃ御終いです。高潔な
民族意識を有しない国と国民が他国から尊敬されたり、憧れられ
たりするはずが有りませんから。
そんなことを思いながら、年頭に意識したのが「橋」のイメージ
です。世代間に架ける橋、民族間に架ける橋、心と文化に架ける
橋、未来に架ける橋。「橋」は旅の出発点であり、終着点にもなります。



市場から

年が明けて、皆様の景気に関する体感温度はいかがでしょうか。
年明け早々、8日には毎日オークションが開催されました。メイン
セールではありませんので高額商品は少ないですが、1000万円
を超えた作品もありました。加山又造のペルシャ猫を描いた15号
が2300万円、現代美ではリー・ウーファンの80号が1050万円、
草間弥生の100号の網の作品が1000万円などが目立ったところ
でした。落札総額が約2億円、落札率約80%で、軽くスタートを
切ったといったところでしょうか。先月号で予告した9日の千束
会(日本画)の80周年の記念の大会ですが、100軒以上の売りが
あり午前10時半に開始され終了したのは夜の7時過ぎでした。
総出来高は詳しくは解りませんが約9億円ぐらいだったろうと推
測しています。一番高額だったのは東山魁夷のフィンランド風景
10号で1750万円、その他1千万を超えた作品は7点と品薄状況
です。上位に並んだのは横山大観、上村松園、杉山寧、平山郁
夫、岡鹿之助、棟方志功といったところです。本年の相場を占う
というほどの大商いではありませんでした。売る方も、買う方も大
変だなぁ、見ているほうは疲れたなぁというのが感想でした。
それにしても画品や画格の高い作品が安いです。日本画では福
田平八郎や徳岡神泉、小林古径に前田青邨、安田靫彦などなど。
祖父善三郎は口癖のように「画品、画品!!画格、画格!!」
とその高さを求めていたのに。何もかもがスピードと刺激に支配さ
れてしまっているかのようで残念です。


今月の新着


福井良之助 「ぐみ」 孔版





福井良之助 「花」  孔版



別にこのコーナーの為に買っているわけではありませんが、
先述の毎日オークションで福井良之助先生の孔版画二点を
求めました。以前にお客様にお納めして以来お目に掛から
なかった、グミの実を描いた可憐な小品と紫陽花です。
いつも戦うお二人に競り勝ったので、うれしいのですが、予算
一杯までいってしまいました。



画集編集室便り

特にやることもなかったので、4日から出社して鑑定書に使った
写真のスキャニングに励みました。1週間暖房が入っていなか
った画廊は冷え冷えとして震えながらの作業になりました。
年明けから又、何箇所か撮影にお邪魔しなければなりません。
欲もどんどん深くなり一点でも多く収録しようと気合が入ってき
ています。未確認情報ございましたら是非お寄せ下さい。
編集の藤元女史とは21日に打ち合わせ、総合監修をお願いす
る先生が見えてきそうです。