「紫陽花や帷子(かたびら)時の薄浅黄」 芭蕉

児島善三郎 「紫陽花」 1942年頃 21.7x15.9cm
韓山苧麻布(ハンサンモシ) 細苧麻布(セモシ)
もう一年が過ぎてしまいましたが、新しい家の庭起しをしていた頃、 旧知のご近所からさまざまな植物を頂きました。それらがもう今では我が物顔で庭先に繁茂しています。日当たりと風通しが良いせか皆健康優良児といった風です。それらの中に紫陽花の挿木があります。花の頃でないと様子が分かりませんから、丁度今頃頂いた事になります。一日充分に水揚げさせた後、枝を詰め残った葉っぱも半分にカットして土中に挿します。大げさになりますが、祈るような気持ちです。果たして活着するだろうか、立ち枯れてしまうのか、どうとも仕様のない気持ちです。おかげで八割方活着に成功し、今、庭の隅で十五センチほどの高さの枝に不釣合いなほどの大きな花を咲かせています。小さな喜びにも根が生えてくるものなのですね。
掲載の紫陽花図は善三郎では唯一見たことのあるものです。雨ばかり続き写生に出掛けられない憂さを、縁側に陣取り一輪の手毬花に紛らわしたのでしょう。また、芭蕉の句の中の帷子時とは麻の単衣の頃の意で、蒸し暑い今頃に上布や縮(ちぢみ)、羅(うすもの)などの夏衣にかえる時候を表わしていると思います。韓山苧麻布(ハンサンモシ) 細苧麻布(セモシ)
今回手に入ったものは重要無形文化財に指定されている鄭さんの作品で恐らく30年くらい前のものです。山野辺知行先生の一行の方が安東(アンドン)のモシ市で手に入れたそうです。蜻蛉の羽のような生地はまるで生絹のように薄く繊細で、羽衣も斯くやと思われます。まさに羅(うすもの)の代表格です。
市場から
六月二十四日に行われた年一回の親和会の大会は概ね盛況に終わり出来高は約六億円ほどだったようです。しかし一千万円を超えるものはわずかで、印象に残ったものは梅原龍三郎のカンヌ風景、東山魁夷の青緑色の風景、坂本繁二郎の植木鉢図、藤田嗣治のパリー風景などが上げられます。児島善三郎も風景とダリアが出ましたが、どちらも値が届かず不落札。中川一政も同じような薔薇の絵が何点も出ましたが20号で500万に届きません。林武は薔薇の良いものが出て6号が900万とそこそこの値で売れていました。全体で見ればまさにデフレ相場一色でした。家賃や人件費は左程変わらないのに、絵の値段が半分から五分の一になってしまって、よく画商さんは潰れないものだと自分のことはさて置いて関心してしまいます。7月15日には日本洋画商協同組合の夏季大会が開かれますが、出来高はあまり期待出来そうにありません。株安、円高、中国の不動産下落や成長鈍化など良いニュースがない中、シンワオークションが24日(土)に開かれます。ルノワールやシャガール、藤田嗣治など総額約6億円の絵画が競りに掛けられます。
今月の新着

脇田 和「少年の顔」1948年 16.8x20.5cm 厚紙に油彩
織田広喜「群像」1954年 28x14.2cm 桜板材に油彩
株式会社 兒嶋画廊
〒106-0032 東京都港区六本木7-17-20 明泉ビル201
TEL&FAX 03-3401-3011
E-mail eakojima@gmail.com
0 件のコメント:
コメントを投稿