「春過ぎて 夏来にけらし しろたえの
衣ほすてふ 天の香具山」 持統天皇
筒描、型染夜着くずし、筍紋
筒描夜着 蝶紋
絵と布の歳時記ですのに絵ばかりが続いてしまいました。たまには布を御紹介させていただきます。掲載は夜着と夜着くずしで、季節柄「筍」と「蝶」の図柄を取り上げました。夜着は年配の方はご存知ですが、掻巻(かいまき)とも呼び寒い地方では厚い布団の上にドテラを伏せたように掛ける袖つきの掛け布団です。こんな派手な意匠は恐らく嫁入り道具だったろうと思いますが、家紋にしても意匠にしても身の回りの自然を等身大に捉え身に纏うのが日本人の情緒の気質です。思えば、この五年ほどの間に随分沢山の藍染の古布、襤褸、絞り、裂織り、刺子、筒描き等を憑かれたように集めてきました。特に夢中になったのは襤褸です。衣服にしろ布団、炬燵敷等が日々使用され磨耗し、毛羽立ち、そこをまた繕われ、継ぎ接ぎにされ、合体し、まるでフランケンシュタインのようになって、あたかも別の生命を与えられたようになった布たちなのです。日常の煩悩と人々の慈しみの塊のように思えます。
市場から
ギリシャ問題から超乱高下した株価もいつの間にか落ち着きをとり戻しているようです。さて、美術の話題ではピカソがフランソワーズを描いた、たいしたことのない絵が100億円、ジャコメッティーの人物像が80億円、ウォーホールの最晩年の自画像が約50億円、などなどオークションレコードが目白押しです。なんか気持ち悪いですよね。余程世界の超お金持たちは自国の通貨や基軸通貨と呼ばれている貨幣を信頼できないのでしょうね。ハイパーインフレ、決して起きてはいけない現象です。でも人々は実感し始めているのではないでしょうか。世界の政府が確固たる担保なしに緊急経済対策と称して輪転機が煙を出しそうになるほどお札を刷っているのを。千年の闇、それだけは御免被りたいものです。我国の美術界は一人、侘びさびの美意識をもってデフレ茶会を催して居ります。さすがと思って、一服如何でしょうか。
今月の新着
前身頃
後身頃
冒頭にも書きました襤褸の代表格です。袖は取れてしまっていますが
やはり夜着のインナーだと思われます。
拙句を一首
「若竹はころも脱ぎつつ背をのばし」 丸子(がんす、兒嶋の俳号)
朝方、犬の散歩の途中に見掛けた初夏の風物を、大好きな福田平八郎の「筍」図を思い出しながら。五月は節句月でございます。平にお赦しを。
株式会社 兒嶋画廊
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