暮れの雪 水にもつむる けしきかな 青蘿
阿羅漢子「暮雪」
山から里へと雪がしんしんと降り積もります。暮れ行く僅かの間の白と黒の無音のページェントが見えてきます。

三木富雄 EAR No.U02 1970
もう三年以上前のことですが、彫刻家三澤憲司氏にこう問いかけた事がありました。ご自分の名前も出さず、筆も使わず、個性も没し、唯、万象を映す一本の管と一枚の鏡となって水墨画を作って見ませんかと。目隠しをし、手を縛り、猿轡をしたような状況で、ひたすら自然界と宇宙の気韻生動を紙の上に念写するような事をです。一休さんの謎かけみたいです。なんと、氏はやってみようと応えてくれました。私がこんなサディスティックな提案をしたのには勿論わけがありますが、ここでは省きます。試行錯誤、生みの苦しみが続きましたが、何とか目途がつき本年三月に銀座洋協ホールで一回目の発表会を行いました。しかし、来たぁツ!!と感じたのは六月の終わり頃でした。夥しい反古の山のなかに、破れた筋肉組織の断面のような皺面の中からこちらを覗き見る目が現れてきたのです。それを境に新しい瀧の姿や、宇宙から送られてくる暗黒星雲の写真のような、うねりと噴出を伴った不思議な造形がつぎつぎと出てきました。それまでの筆や木の枝といった道具を使った技法から、やっと見えてきたのはやはり水でした。すべてを潤し、清め流し、削り、写すめぐみの水、時には荒れ狂い街も生命も奪ってゆく恐ろしい水。最近ではウォータージェットメスなど石を切り、又やわらかい肉や臓器も切る事が出来るすごい水も出てきました。こんなスーパーメディアに気が付いたのです。用紙の高低、含湿度、撥水性、紙の繊維の毛細管現象など紙と水と墨の間に相関する現象に開眼できたのです。火山のマグマ噴出孔や温泉の源泉池や我々の体内や宇宙空間で起きていることと同じ事が画面上に現れてきます。三沢さんの師匠で耳の彫刻家として有名な三木富雄も熔けたアルミニウムの流体の中に石膏を投げ込んで爆出する形を作品にしています。見えない管が開き、心の鏡に投影される像が次々と送られてきます。画禅一如。この半年の成果を新年に問います。ご期待ください。
阿羅漢子 墨画研究発表 「禅&DaDa」
2010年1月28日(木)~30日(土)
会場:銀座洋協ホール 中央区銀座6-3-2
ギャラリーセンタービル6F
市場から
まずは先月号でお伝えしたシンワアートオークションの梅原龍三郎22点の結末から。当日、所用があって会場には行けず落札結果でしかお伝えできないのが残念ですが、大部分の小品は150万円から350万円、500万円から750万円は裸婦や冨士、姑娘、ナルシスなど。浅間山初雪と夏冨士が代表的図柄ということもあって1450万円に1850万円と値を伸ばし、白眉は伊豆山桃李境から描いた「松と波」約25号が下値3000万円の倍の6000万円で落札されています。12号の晩年の薔薇、下値1500万円は不落札に終りました。要は複数のビッダーが競り合った数点が伸びそれ以外は下値を僅かに上回ったところで息切れてしまった感じです。海外からは新聞でもご覧になったと思いますが、ラファエルロの人物画習作が約41億円で落札されています。新聞紙面では毎日デフレ、デフレと騒がれていますし、内閣支持率も50%を割り込み、来年の市況がおおいに気になる年の暮れです。
今月の新着
安井曽太郎「花と太陽」水彩、コラージュ 69×69cm
風呂敷のデザイン画でしょうが、なかなか洒落たものです。黒の格子はモンドリアン風で、切り張りした花や太陽はマチスの晩年のジャズシリーズを連想させます。さすが大家ですね。2010年の年賀状にちゃっかり借用しました。
株式会社 兒嶋画廊
〒106-0032 東京都港区六本木7-17-20 明泉ビル201
TEL&FAX 03-3401-3011
E-mail eakojima@gmail.com
URL http://www.gallery-kojima.jp/
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